あれはもう、20年も前の事となった

その日の事は他に何も覚えていない

ただ

それを渡されたことだけは
忘れない

 

恐怖と緊張でヒリつくような
感覚の中で

なぜかそこだけが記憶に残っている

 

先日、20年ぶりくらいに法事に出た

 

死んだじいさんの33回忌と
ばあさんの23回忌をかねた
法事だった

 

10年ひと昔と言うが
20年前となるとそれはもう
遥か昔のことのようである

 

その法事で起きた事は
やはり20年ぶりになる
いとこ達との再会

 

恐らく

街ですれ違っても
気が付かないほど
変わってしまったみんなの印象

しかし

主な記憶が小学生時代に
遊んだことだというのに

声を聞くと20年前の出来事が
普通に話に出てくるから
不思議なものである

20年というのは
かなりとてつもない時間で

世界がまったく変わることのできる
時間の長さだと思う

 

時代が、正義が、価値観が

街も、人も、心の中も

 

すべて変わってあまりある
時の距離だと感じている

 

だけれども

その流れの中で
引き継がれているもの

何か続いているものが
自分の中に必ずある

 

先日の母方の法事の後
父方の先祖の墓参りに行ってきた

 

そのお墓の中には
数百年前、江戸時代からの
ご先祖様が眠っている

お墓を掃除していて
心に浮かんできたことは

この中にいる人の一人でも

病気で亡くなったり
戦争で死んでしまったり
命を継承せずに生きていたら

 

今の自分はいなかったかもしれない

 

という気持ちだった

長い時代の中で

20年という時の中で

今に続いているというのは
すごく大きな意味のある事
なんだなと思う

「 感謝 」

という言葉は何だか世の中に
ありふれていて

少し安っぽいように
軽い感じに思えてしまうけれど

 

やっぱり感謝を忘れては
いけないなと

今の自分の存在まで

ここまで関わって
続けてくれたすべての人たちの
おかげなんだなと

なんとなく染み入った
お墓参りなのであった

 

かつて若いころ彼は
プロボクサーとして活動していて

デビューから3戦目

それは

後楽園ホールのリングに上がる
まさに直前の出来事

 

恐怖と緊張でヒリつくような
感覚の中で

ひとりの女の子から
花束をもらった

 

彼はその日

後楽園ホールでデビュー戦から
3試合連続の1ラウンドKO勝ちを
果たしたのだか

その日の事は他に何も覚えていない

 

KOパンチのことも
対戦相手のことも
祝勝会のことも

何も覚えていない

 

ただ

それを渡されたことだけは
忘れない

なぜかそこだけが今も
記憶に残っている

 

あれはもう、20年も前の事となった

 

友人の代表として花束を
渡してくれた彼女に

その時のことを
聞いてみたことがある

「 そんなことあったっけ? 」

全然覚えていない、と言って
シレっと笑っていた

 

20年という時間は

とても美しく

そして残酷なのである

 

今日、3月1日は

死んだじいさんの32回目の命日

そして

あの日花束を渡してくれた
女の子の誕生日

 

20年という月日を超え
感謝の言葉をここに

 

花束どうもありがとう

20年間友達でいてくれて
ありがとう

そして

誕生日おめでとう

 

贈るものは何もないけれど
この【BonVoyage】を捧げます

 

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