【Bob Smart】PUNCHED CAPTOE
店長青山です、
今回はとても珍しいブランドの
革靴をご紹介します。
【Bob Smart】ボブ・スマート
というアメリカのブランド、
もしくは革靴のシリーズで
パンチドキャップトゥです。
今回 お届けする内容
『BOB SMART SHOE CO.』と
【The Sir Walter Shoe】
【Bob Smart】の歴史は古く、
1929年の雑誌広告で
見かける事ができます。
そこには
『BOB SMART SHOE CO.』
とあります。
この記載からすると
ボブ・スマートというのは
当時はブランド名ではなくて
そのまま
【BOB SMART SHOE CO.】
という会社名だったように
思えます。
調べてみるとその後
1947年8月19日には上の
ブランドロゴを
【 T/W PROPERTIES 】
という会社が登録申請しています。
この『 T/W PROPERTIES 』は
同時期の1947年7月28日付けで
【Sir Walter】(サー・ウォルター)
の商標も申請しています。
【The Sir Walter Shoe】も
アメリカのブランドで1930年代には
スペードソールの革靴なども
生産していました。
これらの事から推測するに
元々存在していた
【BOB SMART SHOE CO.】
は
【 T/W PROPERTIES 】
に買収されたのかもしれませんね。
ちなみに、
アメリカ古着を扱っていると
「Sir Walter」というブランドロゴの
入ったシャツなどを見かける事が
あります。
関係性があるのかどうかは
全く分かりませんが
興味深い所です。
【Craddock-Terry】の一部門
【NATIONAL SHOE COMPANY】
そしてこちらは
1959年に出された
【Bob Smart】の広告です。
しかし、こちらに記載されている
文章をよく読んでみると
赤い下線の部分には
NATIONAL SHOE COMPANY,
Division of Craddock-Terry
Shoe Corporation
とあります。
と、
いう事はここでまた会社が
変わっている模様です。
クラッドドックテリー社に
買収されたという事でしょうか。
この【Craddock-Terry】とは
当ブログでもよく出てくる
会社名ですね。
そう、実物本物の
を作っていた会社です。
「Division of ~」とは『部門』という
意味です。
表記の文字からすると
【Craddock-Terry Shoe Corporation】
の一部門であったのが
【NATIONAL SHOE COMPANY】。
そのナショナルシューカンパニーが
持っていた一つのブランド、
もしくは革靴のシリーズが
『Bob Smart』という事になりそうです。
この【NATIONAL SHOE COMPANY】
ですが1957年には【Bob Smart】の
同じような広告を出しています。
ですので、
「T/W PROPERTIES」から
1950年代後半のこの頃、会社を
買収した可能性も考えられます。
しかし、
ここまで記載してきた今回の考察も
あくまで推測にすぎません。
恐らく間違いないであろう所は
今回の一足が
【Craddock-Terry Shoe Corporation】
の生産であろうという点でしょうか。
このように素性が解らない
かつての古靴の歴史を紐解いて
あれこれ、想像しながら推測するのも
ヴィンテージ革靴の楽しみの一つかと
思います。
考古学的な要素があってロマンを
感じますね。
アウトソールの半?カラス仕上げ
今回の【Bob Smart】ですが
年代は正直良く解りません。
ただ、革靴の全体的な造りなどからして
1970年代ぐらいの品か、と考えてはいます。
しかし、
靴のディテールとしてはとても
凝ったものでして、古いヴィンテージの
要素がたっぷりです。
ウェルトの出し縫いは
ホワイトステッチです。
アッパーを縫製している
ミシン目の幅も狭めです。
糸のステッチが細かく、丁寧な
仕事ぶりがうかがえます。
そして特徴的なのは
アウトソールに黒く着色が
施されている点です。
黒く見えるのは最初からの
仕様です。
ビスポークや高級革靴に多く見られる
アウトソールの仕上げ方法に
革を黒く塗る装飾があります。
通常は見えない部分ですが
黒で着色してある事により
高級感が増します。
また、
椅子に座って足を組んだ時や
階段を上る時などに革底が見える
場合には黒い装飾の為、靴の
ウエスト部分が細く見えるような
効果もあります。
フォーマルな場面でも
黒のアウトソールが更に一層
エレガントな雰囲気を
加えてくれるのです。
この黒い装飾の中でも
アウトソールの全面を黒く着色して
仕上げるのを「カラス仕上げ」
と呼びます。
それに対して革靴のウエスト部分、
カカトとの境目からレザーソールの
中間位までを黒く塗ったものは
「半カラス仕上げ」と呼びます。
今回のお品はその半カラス仕上げの中でも
土踏まずの部分しか色が付いていませんね。
半カラス仕上げを更に縦半分に
したような仕上げ方法です。
「半々カラス」もしくは「クォーター」
仕上げとでも呼べばいいでしょうか。
ちょっと他では見ない面白い手法です。
土踏まず部分の丸コバ仕様
そして、
アウトソールのコバの仕上げが
土踏まずにかけて、爪先付近からの
フラットな「平コバ」から
曲面に削られた「丸コバ」へと
変化しています。
解りますでしょうか?
下の写真を確認してみて下さい
黄色い線の間の部分はコバが
フラットに仕上げられていますが
土踏まずの横の部分へ入ると
立体的に丸く仕上げられているのが
分かります。
靴の土踏まず部分のコバを
丸く曲面にして仕上げる事により、
ウエスト部分がシャープに見えるという
効果があります。
革底としての機能的には平コバと
変わりがありませんが、あえて
一手間加えてコバを丸く削る事によって
全体の見た目の良さが加わり、より
ドレッシーな雰囲気となります。
Double Lip Edge
(ダブルリップエッジ)
爪あり仕上げのコバ
そしてもう一つ、
今回の革靴の仕事が丁寧な部分は
ウェルトを含めたコバ部分に施された
爪の仕上げです。
コバ部分の上下に微妙な段差の
突起をつける事によって、
アウトソールの側面を立体的に見せ
コバに表情を付けています。
上部にくる赤い二本線の間と
下の黄色い二本線の間に見える
少しの盛り上がりが爪と呼ばれる
仕上げです。
英語では
Double Lip Edge
(ダブルリップエッジ)
と言います。
かなり微妙な段差なので写真だと
わかりにくいかもしれません。
高級ブランド革靴などを見ると
このような仕上げになっている事が
多いです。
中古の革靴でも稀に見かけますが
履きこんだアウトソールが潰れて
バリになった訳ではないのですね。
トップリフトには
O’sullivan(オサリバン)製の
ラバーが使用されています。
カカトの減減りもほとんどなく
まだまだこれから履きこ込んで
頂けます。
販売時についていたであろう
【Bob Smart】のシールが
そのまま残っています。
内部の仕様はファブリック(布)、
タン裏にはフェルト生地が
貼ってあります。
こちらも古い革靴に多い
ディテールですね。
と、
いう事で今回のパンチドキャップトゥは
細部にこだわったディテールを搭載した
とても魅力的な一足です。
内羽根式ですがウィズが3Eなので
足の甲が高かったり、足幅が広くて
通常の内羽根式キャップトゥが
履けない方にもおすすめですよ。
日本人特有の甲高幅広の方は、
サイズ的になかなかアメリカの
古い革靴を選べないかと思いますが
今回の一足は貴重なビンテージと
なります。
是非一度、試着をしてみて下さいね。
それではまた!
【Bob Smart】PUNCHED CAPTOE
サイズ 91/2 ウィズ3E
(目安27 cm~28cmくらい)
¥24700-(+tax ¥1976-)
※ お勧め参考記事
合わせてお読み頂くと
今回のアイテムに対する理解が
より一層深まります。
【 ※ 今回の一足のお手入れ 】
店長青山が今回の【FLORSHEIM】
U-tipのお手入れに使用したクリームは
【M.モゥブレイ】
クリームナチュラーレ
【ブラック】です。
シダーオイル、パームオイル、
ビーズワックス等の天然油脂を
主成分としたM.モゥブレィブランドの
ハイグレードライン皮革用クリームです。
有機溶剤を使用していない
ナチュラル成分のレザークリームで
皮革に潤いとツヤ、柔軟性を与え
コンディションを良くします。
べたつかずに自然な仕上がりになるので
ビンテージのきめ細かで上質な
レザーの手入れにも
ぴったりのクリームです。
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