いつの時代も根強い人気があるアメリカ海軍サービスシューズ。

しかし1950年代製についてあまり語られることがないのはなぜなのか?

ただ一か所を確認するだけで1950年代以前の品と判別する方法とは?!

簡単に一目で確認できる特徴を詳しく解説!

 

1950s-usnavy-serviceshoes
1950s【U.S.NAVY】SERVICE SHOES
VICTORY SHOE CO. OF BROCK INC

 

店長青山です、

今回はアメリカ海軍サービスシューズの中でも特に珍しい1950年代の品をご紹介します。

 

ビンテージのサービスシューズに興味を持っていたり、探した事のある方でしたら少し不思議に思ったことはありませんか?

 

40年代のサービスシューズは検索に出てくるけど1950年代のサービスシューズってそもそも紹介している情報すら全然なかったりするのです。

 

今回はこちらの理由も含めて、一瞬で1950年代以前のサービスシューズを見分ける方法をお伝えします。

 

50年代サービスシューズの情報がないのは何故なのか?

 

1950s-usnavy-serviceshoes-1

世の中で1940年代サービスシューズの情報はあるのに50年代のサービスシューズの紹介がないのはどうしてなのでしょうか?

 

本当の所はわかりませんが店長青山が個人的に考えている理由は以下の二つです。

 

・そもそも50年代の玉数が少ない

・50年代の判別方法を知らない

 

これら二つの理由が一緒になっているという事だと思います。

 

そもそも50年代の玉数が少ない

 

まず、今から半世紀以上も昔の革靴になるので、現在まで残っている「絶対量が少ない」という理由が考えられます。

 

現在より60年以上も昔の品ですし、そもそもサービスシューズは海兵のための装備ですから使用されるのが前提です。

 

使い古され捨てられてしまうのが、この革靴の宿命だとは思います。

 

ただ、これだけだと、より古い1940年代サービスシューズの詳細情報はあるのに50年代製の情報がでてこない理由になりません。

 

基本的には、より古い年代のほうが残っている現存数も少ないはずです。にもかかわらず、40年代サービスシューズの情報しか出てこない。

 

40年代と60年代の間に「50年代サービスシューズ」という空白の10年間がぽっかり空いているような状況です。

 

ですので、店長青山的には次の理由が大きな要因なのではないかな?と考えています。

 

50年代サービスシューズの判別方法を知らない

 

1950年代のサービスシューズというのは見た目上、40年代の品と似ている所があります。

 

ところが1950年代の品はサービスシューズの年代判別に重要な手掛かりとなるミルスペックの表記が一般的にはわかりづらいものなのです。

 

コントラクトナンバーを見て一目で製造年が書かれているものではないので、1940年代以降~とか、もしくは1960年代製として販売されてしまったものも存在しているのではないでしょうか?

 

靴の個体そのものから1950年代の品という確信が得られづらい。

 

だからこそ、1950年代の個体の紹介が少ないような気がしています。

 

 

初公開!50年代以前のサービスシューズの特徴!

 

 

1950s-usnavy-serviceshoes-2

 

ですので、今回は1950年代のサービスシューズの詳細を知るまたとないチャンスです。

 

少なくとも店長青山は今回ご紹介する内容を過去に書籍とか他のサイトで見た事はありません。

 

店長青山がなぜこの情報を持っているのかというと、かつてサービスシューズを何百足も手にしてきたという本物を知るお客様から指南して頂いたからです。

 

この、生の一次情報をお客様から教えて頂いてからというもの、たくさんの実物で検証してきましたがまさしく教わった通りでした。これこそが、現場で人と関わり実物を扱っている人間の強みです。

 

実はこの内容、以前ブログ内でちらっとだけ紹介した事があるのですが、おそらく気に留めて覚えている人はほとんどいないでしょう。

 

ですので、これを知る事であなたは日本中の古着屋店員の98%が知らないような情報を手にすることになります。

 

トップ2%に入る方は古靴マニアかミリタリーおたくか、過去に紹介した店長青山のブログを隅々まで読んで些細な一文まで覚えているという、ちょっとおかしい人たちです、きっと。

 

まさしく本邦初公開!ですので今回の内容を楽しみに読み進めて行って下さい。

 

 

コントラクトナンバー『DA』から年代を読み解く

 

50s-us-navy-serviceshoes-11

VICTORY SHOE CO. OF BROCK INC
7 D 7087 4
CONT. DA-30-352 TAP-2596

 

まずわかりずらいのはサービスシューズの内側に記載されているコントラクトナンバーです。

 

通常であればここにそのまま『1962』などの数値が入り、それがそのまま製造年を判別する基準となるのですがこちらにはその記載がありません。

 

Defense Agency アメリカ国防局

 

こちらの靴の記載にあるのは『 DA 』で始まるコントラクトナンバーです。

 

現在では Defense Logistics Agency (DLA)アメリカ国防兵站局 となっていますが、このDAは当時 Defense Agency(アメリカ国防局)を表していました。

 

この『 DA 』表記のコントラクトナンバーが年代判別のカギです。こちらは店長青山が知るかぎり

1952年ー1961年まで

使用されています。

 

なので、こちらの

CONT. DA-30-352 TAP-2596

表記から1950年代の品と推測できます。

 

でもここで、年代考証にこだわりのあるあなたはこう思うかもしれません。

 

「1952年から始まっているから1940年代じゃないという理屈はわかった。

でも、1961年まで表記があるなら60年代製の可能性もあるんじゃないか?」

 

と。

 

1950年代以前のサービスシューズを一目で見分ける方法

1950s-usnavy-serviceshoes-3

 

では、ここで1950年代以前のサービスシューズを一目で見分ける方法をお伝えしましょう。

 

少しアメリカ海軍サービスシューズを知っている方でしたら、古い個体にはアイレット下にステッチが入っている事をご存じかと思います。

 

50s-us-navy-serviceshoes-double-seam50s-us-navy-serviceshoes-double-seam

 

この部分のステッチがシングルだと1970年代初期以前、ダブルだと1960年代以前とされています。

 

今回の個体はダブルステッチです。ミシン目が2本並行して入っているという事です。

 

ダブルステッチは1960年代前半とご紹介される事もあります。シングルよりダブルのほうが古い傾向があるのは確かです。

 

1960年代前半のサービスシューズがダブルステッチなのは間違いないことでしょう。しかし、ダブルステッチは1960年代後半にも存在しています。

 

このあたりのディテールは、混在していると考えてもらったほうがいいかもしれません。

 

そして、今回ご紹介する1950年代以前のサービスシューズを見分ける方法は以下のものです。ここの見分け方こそがほかの情報源からは決して得られない内容です。

 

1950年代以前のサービスシューズは羽根を止める縫い目がダブルステッチ

 

50s-us-navy-serviceshoes-double-stich

 

サービスシューズのステッチと聞くとたいていの場合、先ほど紹介したアイレット下の縫い目を見ると思うのですが、着目すべきところは実はそこではありません。

 

上の丸で囲った羽根を本体に縫い留めている部分なのです。

 

1950年代以前のサービスシューズはここがダブルのステッチ、並行した2本の縫い目で留められています。

 

しかし、1960年代に入るとここのステッチが1本になるのです。

 

1969s-us.navy-serviceshoes
1969年【U.S.NAVY】SERVICESHOES

 

上の写真では1969年のサービスシューズを示しています。

 

この個体ではアイレット下のステッチが2本ですが、下の羽根を止めている部分の縫い目に関しては1本の縫い目になります。

 

このディテールは1960年代に入ってからのすべてのサービスシューズに適応されます。

 

もしかしたらどこかにディテールが混在している過渡期のモデルがあるのかもしれませんが、店長青山は見たことがありません。

 

なのでここの部分の縫い目がダブルでしたら、そのまま1950年代以前の品と判断していいと思われます。

 

 

インソールの内部に刻印されたウィズのアルファベット

 

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そしてもう一つ、外見からはわからないのですが、インソールの印字に年代を見分けるカギがあります。

 

それはインソールに刻まれているサイズの表記の刻印です。

 

基本的に市場でみられるサービスシューズの多くはウィズの記載を N(ナロー)、R(レギュラー)、W(ワイド)の三種類のアルファベットを基準として表記されています。

 

しかし、古いサービスシューズにおいてはC、D、E などの表記において幅を記載していました。

 

このアルファベットの記載が N, R,Wに移行したのは 1959 ~ 1960 年あたりとなっています。

 

と、いうことはですね。

 

インソールのアルファベットの印字が N、R、W でない個体についてはその時点で1950年代以前の品と考えられるのです。

 

これら二つのエビデンスから今回の個体は少なくとも1952~1959年までのモデルと推測できます。

 

 

1950年代中期以降~?

 

ただし、

CONT. DA-30-352 TAP-2596

こちらのコントラクトナンバーの記載のうち最後の4桁の数字。ここは基本的に数字が若いほど年代が古いものとなっているはずです。

 

『DA』系統のコントラクトナンバーを今回、調べきれなかったのですが『2596』番は50年代の品とあってもそんなに初期のものではないような気がします。

 

おそらくは1950年代中頃以降の数字ではないでしょうか?

 

でもそうするとサービスシューズのT字型バックステイ(=市革とも呼ばれる補強用の当て革)は40年代だけではなく、思いのほか長く使われていたような印象ですね。

 

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Tバッグとも呼ばれるこの特徴的なバックステイは1940年代特有のディテールと考えられている傾向があります。

 

しかし、コントラクトナンバーをもっと深堀りして年式をはっきりさせれば一般的に知られているサービスシューズの年代考察をもっと進めることができるでしょう。今後の課題としておきたいと思います。

 

1950年代アメリカ海軍サービスシューズ

 

それでは今一度今回のサービスシューズの詳細を確認していきましょう。

 

50s-us-navy-serviceshoes

 

アッパーの状態も非常に良くとてもきれいなビンテージサービスシューズです。

 

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1950年代は5アイレットで平ヒモ

 

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1950年代のサービスシューズは1970年代以降の品と同じく5アイレットです。ものすごくざっくりと大まかに分けると次のような変遷があります。

 

40年代 6アイレット

50年代 5アイレット

60年代 6アイレット

70年代以降 5アイレット

 

40年代の6アイレットは見たことがあるけど、50年代の5アイレットは見たことがないという方も多いのではないでしょうか?

 

むしろ40年代よりもレアな5アイレットですよ。

 

 

アイレット下、羽根下ともにダブルステッチ

 

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先ほど詳しくご紹介しましたが、アイレット直下のステッチ、下部において羽根をアッパーに取り付けている部分も並行した2本の糸で縫われています。

 

タン裏はフェルト、インソールにサイズの刻印

 

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タン裏はフェルト仕様です。インソールにサイズとウィズの刻印があります。

 

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内部前方のライニングはファブリックで(布)です。内部もご覧のようにきれいな状態を保っています。

 

カカトのバックステイはT字型

 

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そして1940年代50年代のサービスシューズのディテールの中で最大の特徴である、T字型のバックステイです。一目でもわかるとても魅力的なデザインですね。

 

雑誌『Begin』様ではこのT字型バックステイを「Tバック」と呼ぶ事を押しております。女性のセクシーな下着、いわゆるヒモパンですよね。

 

女性の魅惑的なまあるいお尻にはいている、Tバックパンティーのように見えるからそのような名称として呼ぶように啓蒙しております。

 

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どうでしょうか?  Tバッグ下着に見えますか?

 

アウトソールは茶系のレザー、オークソール?

 

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アウトソールは茶系レザーソールです。

 

定かではありませんがオークタンニンでなめされたレザーソールのようにも見えます。もしくはある程度油分を含ませた皮革を使用しているのか。

 

1960年代からのサービスシューズがこのような素材のアウトソールをしていますね。今回の個体が1950年代半ば以降の品かもしれないと推測しているのは、このアウトソールの素材という見方も一つあるからです。

 

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トップリフトは【Vibram】社のラバーです。この部分は全く減りがないので現行品でしょう。

 

カカトのゴムを取り替えたはいいけれど、結局一度も履かずに手放したという感じでしょうか。

 

すでにリペア済みですのでユーズド品を購入する立場としてはこれ以上ないほどありがたいですね。カカトもこのサラの状態から履きこんで頂けますよ。

 

アウトソールの前面にはおそらく大き目なスチール製の減り止めを装着していた模様で跡が付いています。

 

ただ、そのおかげでオリジナルのアウトソールがそのままきれいに残っていますし、装着の跡が気になるようであればハーフソールを貼ってしまえば全く分からなくなります。

 

靴全体の使用感も少ないですし、前の持ち主の人は大切に保護しながらたまに履かれていたのでしょうね。

 

50年代の特徴を完璧に兼ね備えたまれに見るサービスシューズ

 

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と、いう事で今回は完璧なまでに1950年代の特徴をかねそなえた、まれに見るサービスシューズです。

 

ここまで詳細が説明されている1950年代サービスシューズはいまだかつてないと思いますよ。

 

しかも、サービスシューズで出玉があることはほとんどない【サイズ7 D】という日本人サイズ。

 

【サイズ7 D 】という所がポイントです。ウィズが N、R、W などではありません。【7】という大きさがレアというだけでなくがウィズが1950年代以前の表記というのがミソです。

 

これこそまさにビンテージ!新品のブランド品とは違っていくらお金を積んだところで手に入るものではありません。

 

日本において1950年代サービスシューズを詳しく紹介する礎となったこの一足。アーカイブコレクションとして永久保存しておきたい所ですが、かねてより当店のお客様であればご存じですね?

 

先代の社長の教えにより、お店の人間はコレクターになってはいけないのです。なぜならばお客様にご紹介するより先に、素晴らしいアイテムばかりを自分の物としてしまうからです。

 

なので、古着屋ガレージセールは自分の手に残しておきたいものこそ、お客様にご紹介します。

 

貴重なきちょうなサービスシューズ。一生ものですのでサイズが合う方は是非、見に来てください。

 

それではまた!

 

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1950s【U.S.NAVY】SERVICE SHOES
VICTORY SHOE CO. OF BROCK INC
サイズ 7 ウィズE (目安 24.5cm ~ 25.5cm 位)
¥42000-(+tax ¥4200-)

 

【 ※ 今回の一足のお手入れ 】

 

アメリカ海軍のサービスシューズは1960年代後半から革質がスムースレザーではなく、ガラスレザーとなっております。

 

今回のお手入れはガラスレザーではなかった1960年代前半以前のサービスシューズにのみ適応する方法です。

 

ガラスレザーのサービスシューズをお手入れする際にはその点をご注意ください。

 

サービスシューズのお手入れガラスレザー編

 

で、店長青山が今回1950年代サービスシューズに使用したクリームは

 

サフィールノワール クレム1925
【サフィールノワール】
クレム1925

【ブラック】です。

 

ただ、あまりにも古いビンテージのモデルですので、まずは

 

『たっぷりと保湿を行う』

 

事が重要です。

 

ビンテージの革靴で最も気を使わなくてはいけないのは

 

『 乾燥から革を守る 』

 

事になります。

 

ましてやそれがデッドストックの品であったりすると数十年間もの間、全く保湿がされていない事にもなります。

 

なので靴クリームを使用する前に保湿のためのクリームを使って革に潤いを浸透させていきます。

 

その際に使用するのは

 

delicate-cream-black
【M.モゥブレィ】
デリケートクリーム
(ブラック)

です。

 

デリケートクリームは革のコンディションを整える際にまず使用したいクリームです。

 

主に保湿を目的としたクリームとなります。

 

油分やロウ分などを

『革に入れる前』

に使用します。

 

今回は黒い革靴でしたのでデリケートクリームもブラックを使用しました。

 

本当に若干ですが、無色の物よりもほんのりと色が革に入りますのでブラックの革靴に使う時にはお勧めです。

 

そしてその後サフィールのクレム1925を使用しました。

 

中古の革靴から強い黒光りの輝きが欲しい時にはサフィールのクレム1925が活躍します。

 

最高品質のビーズワックス、シアバター、カルナバワックスなどの天然原料を厳選して使用し配合されているクリームです。

 

成分のシアバターが高い浸透性で革に潤いを与え、ビーズワックスがヴィンテージの革靴にも上品な光沢感を出してくれます。

 

乳化性クリームなのですが仕上げに、固形ワックスが必要ないほど良く光ります。

 

まだ試したことのない場合は是非一度、ご利用になる事をお勧めいたします。

 

 

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