アメリカ古靴が好きだけど足が小さくてビンテージで履ける品がない!
足が小さい上に、甲が高くて幅が広め。。。
典型的な日本人の足にあうビンテージ革靴はないものか。。
もしあなたがそんな悩みを抱えていたら、今回の一足はまさにあなたのための品かもしれません。
1964年6月製【FLORSHEIM 21693】PLAIN TOE
『The BLAZER』
店長青山です、
今回もかなり程度の良いビンテージ革靴をご紹介します。
1964年6月製【FLORSHEIM】のプレーントゥ、モデル 『The BLAZER』です。
半世紀以上昔のビンテージとして、このコンディションではまず出ないサイズ感。
フローシャイムマニアにはたまらないお品です。
今回 お届けする内容
『THE DAILY BANNER』誌 1964年3月11日【FLORSHEIM】広告
では今回のお品を検証していきたいと思います。
下は1964年3月11日付でアメリカの新聞『THE DAILY BANNER』です。
『THE DAILY BANNER』 GREENCASTLE,INDIANA
紙面の右上には
WED., MARCH 11, 1964.
という日付が確認できます。
では、紙面の右下をみてみましょう。こちらに【FLORSHEIM】の広告が出されているのが確認できます。
for his EASTER!
という見出しで広告が打たれていますね。
2足ある靴のうち、上が3アイレットのプレーントゥです。1964年3月11日の広告なので年代的にも今回のお品と一致します。
ではこちらに記載の内容をもう少し詳しく見てみましょう。
ブラックカーフのプレーントゥは品番『21693』
That’s why Florsheim wearers spend
less in the long run — by the month
or by the mile. Economy’s doubled
when you consider you can have
the finest for as little as $19.99
Top: The BLAZER, $19.95; plain toe blucher. Black calf, 21693; drift-
wood, 31740; perfecto, 31722. Bottom: The BLAZER, $19.95; overlay
front blucher. Black calf, 21692, driftwood, 31739; perfecto, 31720.
注目したいのは赤と緑の下線を引いた部分。
赤い下線はモデル名ですね。そして緑の下線が品番です。
ブラックカーフのプレーントゥが『品番21693』で今回のお品と完全一致です。
今回はモデル名【 The BLAZER 】で確定して間違いないでしょう。
革靴内部の印字にある2桁のアルファベット【FE】 から製造年月『 6月 / 4年 』と判定できます。
過去の古靴を考証する際にはこのように新聞や雑誌に掲載されていた広告が有力な判断材料になります。
今はインターネットで検索する事ができるので、何かわからない靴があれば印字の品番を頼りに時代考証をしてみるといろいろな発見があって面白いですよ。
古靴がお好きな方は是非試してみてください。
【FLORSHEIM 21693】は『THE CHEVRON』ではないのか?
と、このようにお伝えすると実際に検索してみるとても行動力のある方が出てくると思うのですが、そうすると不思議に思われるかもしれません。
【FLORSHEIM】の品番「21693」はモデル名「THE CHEVRON」なのではないか?
という事ですね。 確かにその通りです。
では、海外サイト『vcleat』様がご紹介している【FLORSHEIM】の1969年カタログで確認してみましょう。
【FLORSHEIM】stock styles for men fall 1969
『Page66』にこちらの革靴が載っています。一番左が「THE CHEVRON」です。
確かに見た目やシルエット、フォルムはなど一緒ですね!
left
THE CHEVRON 31722 ・ 21693
31722ーPerfecto Dolce calf
21693ーBlack Dolce calf (not shown)
Plain toe blucher; rubber heels
これによるとモデル名「ザ・シェブロン」は31722がカタログ写真のブラウン色で 「パーフェクトドルチェ カーフ」。
そしてカタログには載っていませんが、21693が 「ブラックドルチェ カーフ」という事になります。
では、今回の品が1964年製で「The BLAZER」である事はどうやって見分ければいいのでしょうか?
インソック下のクッションがアーチ型は1965年以前
フローシャイムでは靴の内部に敷くインソック下のクッションが年代により形状が変わります。
上の画像で確認できると思うのですが、インソック下にあるクッションの形状がアーチ状になっているのが分りますでしょうか?
この部分の形状がアーチ型になっているものは「Kenmoor」シリーズのロングウイングチップなどでは1965年までとされています。
で、あるならば他のシリーズであったとしても恐らくそのような時代考証が適応できるはずです。
ですので、この部分の形状を見る限り今回の靴は1960年代前半のお品と考えられます。
インソック下にあるスポンジの形状についてはこちらの過去記事を参考にしてみて下さい。
【FLORSHEIM 21693】PLAINTOE『The BLAZER』
それでは改めて今回の『The BLAZER』を見てみましょう。
3EYELET V-FRONT DERBY
今回の『The BLAZER』の見た目における特徴はVフロントダービーという事でしょう。
靴ひもを通す羽根の部位がつま先に向かって、さかさまにしたV字のように広がっている形式を『Vフロント』と呼びます。
ダービーとは外羽根式の靴の事ですね。ちなみにこの名称、競馬(ダービー)でお馬さんがスタートの際、飛び出すゲートのように開くので外羽根式の靴の事を「DERBY」といいます。
Vフロントダービーの特徴はとにかく「エレガントに見える」ことです。
V字の根元に当たるのでアイレット数は少なめになります。2~3つのアイレットにシンプルなプレーントゥ。
つま先から足首にかけてのフォルムがすっきり見えるのでドレッシーな雰囲気も漂わせますね。
単なる外羽根プレーントゥとはまた違った大人の色気を感じさせてくれます。
レザーアウトソール 釘穴有トップリフト
アウトソールはレザーでご覧のように非常にきれいなコンディションです。履いた形跡もほとんど感じられません。
トップリフトはラバー。フローシャイムのオリジナルで8個の釘穴が開いている古いタイプです。
フローシャイムのゴム製トップリフトではものすごく大まかにわけると釘穴有は1960年代ぐらいまでです。
1970年代からは釘穴のないトップリフトに移行した模様。
UNION MADE PED-FLEX PROCESS PAD-PEND
靴の内部のインソールには刻印があります。
UNION MADE
PED-FLEX PROCESS
PAD-PEND
⑥
【FLORSHEIM】の靴に『UNION MADE』(ユニオンメイド)の文字が入るのは1970年代の初頭までです。
また『 PED-FLEX PROCESS 』についてはこちらの記事を参考にしてください。
【FLORSHEIM】 PED-FLEX PROCESSとは
タン裏のフェルト、ライニングはファブリック(布)
ランの裏は古い【FLORSHEIM】ではよく見られるフェルト仕様。靴内部の前方ライニングはファブリック(布)です。これもまたオールドのアメリカ革靴に見られる特徴ですね。
と、いう事でつらつらとみてきましたが、要するに現在から56年前のアメリカ革靴なのです。
それがこのコンディションでこのサイズで、なぜか今 、津田沼のお店にあるという状況です。
小さめのサイズ感ですが、これがまた日本人には嬉しい事に幅広の「3E 」!!
足が小さい上に甲が高くて幅が広い、という方でも選べるまさに奇跡的な一足ですよ!
ご自身でアメリカに行って実際にビンテージの革靴を探したら、このサイズがどれくらい奇跡なのか骨の髄まで沁みて実感できるかもしれませんね。
現在の【FLORSHEIM】をUSAサイトでみるとモデルによっては販売している靴の最小サイズが『8』だったりしますから。
足が小さくてビンテージが選べないというあなたは今回の逸品を是非どうぞ!
それではまた!
1964年6月製【FLORSHEIM 21693】PLAIN TOE
『The BLAZER』
サイズ 6 ウィズ 3E (目安 24cm ~ 25cm 位)
¥29000-(+tax ¥2900-)
【 ※ 今回の一足のお手入れ 】
店長青山が今回の【FLORSHEIM】The BLAZER をお手入れしたクリームは
【サフィールノワール】クレム1925
【ブラック】です。
今回もビンテージ革靴のお手入れにこちらのクリームをご紹介させて頂きます。
当店は【M.モゥブレィ】正規販売店なのになぜ他のブランドのクリームを使用するかというと、やっぱり目的によって使い分けたいからです。
「どんな靴にも、どんな目的にも【M.モゥブレィ】のクリームが最高ですよ!」
と言ったら、それはやっぱりウソ臭いと思います。
【M.モゥブレィ】はとても素晴らしいクリームです。
当店の革靴のお手入れには95%以上、【M.モゥブレィ】の製品を使用します。
しかし、表革の革靴から強い黒光りの輝きが欲しい時にはサフィールのクレム1925を使用したりするのです。
目的と用途によって使い分けているという事です。
サフィールのクレム1925もとても素晴らしいクリームです。
最高品質のビーズワックス、シアバターカルナバワックスなどの天然原料を厳選して使用し配合されています。
成分のシアバターが高い浸透性で革に潤いを与え、ビーズワックスがヴィンテージの革靴にも上品な光沢感を出してくれるのです。
乳化性クリームなのですが仕上げに、固形ワックスが必要ないほど良く光ります。
まだ試したことのない場合は是非一度、ご利用になる事をお勧めいたします。
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