40s【U.S.NAVY】
DRESS OXFORD SHOES
HOWARD & FOSTER. INC
店長青山です、
今回は古い古いサービスシューズをご紹介します。
1944年7月22日製のアメリカ海軍ドレスオックスフォードシューズです。
今からおよそ74年前、第二次世界大戦中に製造された実物本物です。
今回 お届けする内容
HOWARD & FOSTER. INC
10 F 4008 1
NXsx 65948
JULY 22. 1944
軍から支給された実物本物には内部に必ず製造年などの記載があります。
この記載を読めば製造された年月などが判別できるのです。
このコントラクトナンバーやミルスペックの読み方にこちらのブログで詳しくご紹介していますのでご覧下さい。
今回のお品では1940年代のサービスシューズのディテールを確認できます。
40年代サービスシューズの特徴
では、1940年代のサービスシューズの特徴を見ていきましょう。
ここでいう年代はざっくりと大まかな考え方ですのできっちりと年代ごとにディテールが分かれているわけではありませんのでご注意ください。
まず、シューホールの数が6個。
40年代、50年代のサービスシューズはアイレットが5個と6個が存在します。60年代になるとアイレットの数は6個になります。
そのアイレットの下に入っているステッチはダブルです。このステッチは1960年代後半以降になるとシングルステッチとなっていきます。
ただ、ものによっては1960年代後期の品でもダブルステッチのものもあるのでここだけで一概に年代は言えません。
更にその下、外羽根のパーツをアッパーと接合するためのステッチがありますがここもダブルステッチとなっていますね。
実はこの部分のステッチがダプルなのは1950年代までのディテールとなっています。ここは一般的にあまり語られる事が無い箇所です。
しかし、サービスシューズの年代判別ポイントとしてわかりやすくて重要な部分ですので是非、覚えておいて下さい。
そして、シューレースはコットン製の平紐ですね。
そしてなんといっても40年代のサービスシューズの特徴はこちらです。カカト部分にT字型の革が当ててあります。
このカカトのT字型革パッチがあるとおおよそですが1940年代と判別できます。
そして、店長青山がこのサービスシューズを見て何が驚愕したかといってここです。
革靴のかかとに穴が開いている理由
わかりますでしょうか?
カカトの部分に小さな穴が開いています。
このようなカカトにある小さな穴、よく見ていると様々な靴にも開いている事がわかります。
新品の革靴でカカトにこのような小さな穴が存在していると
「不良品だ!」
と勘違いされる方も多いようですがそれは違います。むしろその靴は良い靴だと考えて下さい。
新品の靴屋さんだとその穴を利用して値札を付けている事もあるので
「プライスカードの為に靴に穴を空けられた!」
と思ってしまうかもしれませんが実はこれは靴の製造過程で出来る穴なのです。
靴の製造過程では革を靴の形に整える際に『木型』というものを使用します。
その木型に革を合わせて靴の形を作っていくのですが固定する際に小さな釘を使ってずれないようにするのです。
その釘を止める箇所がカカトの上部に当たるので革靴のこの位置に穴が開きます。LASTのかかと部分にも穴が開いているのがわかりますね。
この靴のかかとの穴は、職人が手作業で靴を製造している物にしか付きません。工場で大量に機械生産した物にはついていない訳です。
なので、穴が開いている靴があったとしたらその靴は職人の手作業で作られた良い品という事の目安になります。
店長青山が何に驚愕したかといって今回のサービスシューズにこの穴が開いていたという事です。
軍隊が兵士に大量な数を提供するサービスシューズなのに職人が手で釣り込んで一足一足作っていたというのが現代ではとても考えられません。
しかも、第二次世界大戦中ですよ!?
戦時生産局から物資統制が行われるようなこの時期にここまで行われているのがすごいです。
と、いうか昔はそうやって靴を作るのが
『当たり前だった時代』
なんでしょうね。
むしろ他に選択する方法がなかったと言うべきか。
「昔の靴の方が革質も作りも現行品とは比べ物にならない程良かった」
とは、革製品に関してよく言われる事ですがサービスシューズにおいてもそのような現実をまざまざと感じさせられてしまいます。
そして今回のこの靴デッドストックではありませんがアウトソールの減りもご覧の通りほとんどありません。
超絶美品のミントコンディションです。
マンソンラストか?ネイビーラストか?
アウトソールには
J.P.CONLON
NAVAL INSP
の文字が入ります。
これは海軍のINSPECTOR(検査官)という意味です。
J.P.CONLON さんが検査官のお名前だと思います。この靴を検査した人の名前ですかね。
靴を検査した人の名前がいちいち入っているというのも驚きです。
ちなみにこの名前、靴内部のインソールにも刻印されていますよ。
そして、特徴的なのは靴のウエスト部分のくびれです。
この時代のサービスシューズにはマンソンラストが使用されているとも言われています。
マンソンラストについては過去のこちらの記事を参考にしてください。
アッパー部分のコッペパンのようなつま先の立ち上がりや、外に向かってふっくら張り出した形を見ると、なるほどマンソンラストかもしれないと思います。
ただ、今回のソールの形を見る限りマンソンラストというよりはネイビーラストが使われているような気がしないでもありません。
う~ん、難しい。。。
ミリタリー系は奥が深すぎて悩みます。
この、ミステリアスな所もまた軍物の魅力の一つかもしれませんね。
ご覧の通りカカトのトップリフトもオリジナルのまま綺麗に残っています。ほとんど履かれた形跡がありません。
カカト内部のヒールカウンターもとてもきれいです。
タンの裏地はフェルトです。
先ほどアウトソールにもあった検査官の名前がインソール中心部分辺りに刻印されています。
内部も綺麗でダメージ等は一切見られません。
と、いう事で今回は超絶美品のミントコンディション。
1944年製の大戦モデルサービスシューズでした。
当店では二度と手に入らないお品ですのでサイズの合う方は是非、一度見に来てください。
それではまた!
40s【U.S.NAVY】
DRESS OXFORD SHOES
HOWARD & FOSTER. INC
サイズ 10 ウィズF (目安27.5 cm~28.5cmくらい)
¥49800-(+tax ¥3984-)
※ お勧め参考記事
合わせてお読み頂くと今回の革靴に対する理解がより一層深まります。
【 ※ 今回の一足のお手入れ 】
アメリカ海軍のサービスシューズは1960年代後半から革質がスムースレザーではなく、ガラスレザーとなっております。
今回のお手入れはガラスレザーではなかった1960年代前半以前のサービスシューズにのみ適応する方法です。
ガラスレザーのサービスシューズをお手入れする際にはその点をご注意ください。
で、店長青山が今回第二次世界大戦モデルのサービスシューズに使用したクリームは
【サフィールノワール】
クレム1925
【ブラック】です。
ただ、あまりにも古いビンテージのモデルですので、まずは
『たっぷりと保湿を行う』
事が重要です。
ビンテージの革靴で最も気を使わなくてはいけないのは
『 乾燥から革を守る 』
事になります。
ましてやそれがデッドストックの品であったりすると数十年間もの間、全く保湿がされていない事にもなります。
なので靴クリームを使用する前に保湿のためのクリームを使って革に潤いを浸透させていきます。
その際に使用するのは
【M.モゥブレィ】
デリケートクリーム
(ブラック)
です。
デリケートクリームは革のコンディションを整える際にまず使用したいクリームです。
主に保湿を目的としたクリームとなります。
油分やロウ分などを
『革に入れる前』
に使用します。
今回は黒い革靴でしたのでデリケートクリームもブラックを使用しました。
本当に若干ですが、無色の物よりもほんのりと色が革に入りますのでブラックの革靴に使う時にはお勧めです。
そしてその後サフィールのクレム1925を使用しました。
中古の革靴から強い黒光りの輝きが欲しい時にはサフィールのクレム1925が活躍します。
最高品質のビーズワックス、シアバター、カルナバワックスなどの天然原料を厳選して使用し配合されているクリームです。
成分のシアバターが高い浸透性で革に潤いを与え、ビーズワックスがヴィンテージの革靴にも上品な光沢感を出してくれます。
乳化性クリームなのですが仕上げに、固形ワックスが必要ないほど良く光ります。
まだ試したことのない場合は是非一度、ご利用になる事をお勧めいたします。
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