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青山健一の古着屋ガレージセール ラジオ

 

 

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戦後の闇市でそれさえあれば飛ぶように売れたもの

 
 
青山健一です、 
 
 
今日は 
 
「戦後の闇市で、それがあれば飛ぶように売れたもの」 
 
というお話をしたいと思います。 
 
 
 
僕自身は1997年に古着の業界に入りました。 
 
 
仙台の社長の下で長く店長を務めた後、2010年に暖簾分けという形で独立させていただきました。 
 
 
なので、 
 
 
一応アパレル・ファッション業界に23年以上携わっていることになります。 
 
 
 
ただ、僕自身は人との付き合いが苦手ということもあり、横のつながりとか、縦のつながりとかが全くと言っていいほどありません。 
 
 
もちろん先代の社長のように、今でも良くして下さる方がいるのですが、基本的にはアパレルの業界でつながっている方はいません。 
 
 
現在、僕が繋がっているのはお客様だけです。 
 
 
僕のお店というのは、自分が好きなものを、当店のお客様だけに届けるという、非常に小さなこじんまりとしたビジネスなのです。 
 
 
なので正直に言わせて頂くと、ファッション業界の現状など全くと言っていいほど分かりません。 
 
 
しかしそんな僕でも、今、現状アパレル業界がコロナ禍によって窮地に立たされているというのは非常に理解できます。 
 
 
古着屋ガレージセールは1990年創立ですので、昨年の2020年で創業30年ということになります。 
 
 
しかしコロナの影響で、アメリカへの渡航が禁止されたため、当店の革靴入荷の全てを手掛けてくれていたバイヤーさんがお仕事を辞められてしまいました。 
 
 
ですので、これまでと同じビジネスモデルを継続することが不可能となり、25年間同じ場所で続いた店舗を手放し現在は移転しております。 
 
 
なので、少なからずファッション業界の痛みはわかるつもりです。 
 
 
 

「コロナ」と「ファッション」と「不要不急」

 
 
「不要不急」 
 
 
という言葉が示すように、「今すぐ必ずしも必要ない」というカテゴリーに含まれてしまうのがファッションというものかもしれないです。 
 
 
 
僕自身は現在、ビジネスやプライベートで使用できる中古のドレスシューズを主に取り扱っているのですが、お仕事で出勤しなければ革靴は必要ないです。 
 
 
 
靴というのは服飾関係のアイテムの中では、もっともダメージを受けやすい品の一つです。 
 
 
 
人間の体重を支えながら歩くという道具なので、 車のタイヤと同じように使用すれば必ず磨耗していきます。 
 
 
メンテナンスをしながら、長く使用することは可能ですがそれでもお洋服などに比べたら、はるかに消耗品に近いと言えるでしょう。 
 
 
 
そんな、買い替え必要性が多い革靴ですら、在宅勤務であれば必要ないわけですから、スーツやお洋服などに至っては言うまでもありません。 
 
 
新しい洋服を購入する必要性は今回のコロナにおいて著しく失われたと言っていいでしょう。 
 
 
 
アパレルという業界自体が瀕死の重傷になっていることは疑いようのない事実です。 
 
 
しかしそんな時に、僕が必ず思い出すようにしている話があります。 
 
 
それが「戦後の闇市で飛ぶように売れたもの」というお話です。 
 
 

いつの時代も、いかなる時も「綺麗でありたい」

 
 
第二次世界大戦の末期、日本では多くの街がアメリカ合衆国の爆撃機による空襲で焼け野原にされました。 
 
 
その後、何もない焼け跡にバラックで非合法な闇市が出来上がります。 
 
 
誰しもが、今日にも食べるものにも困るような状況で、 
 
 
「これがあれば必ず飛ぶよう売れた」 
 
 
という商品があったそうです。 
 
 
僕はこれをある人に聞きました。 
 
 
その後自分自身でも色々と調べてみたのですが、その話を裏付けるような記述はどこにもありませんでした。 
 
 
 
要するに記録やエビデンスがなく、 口伝えで残ってきた話ということです。 
 
 
 
信憑性があるかどうかは分からないのですが、僕はこの話を15年以上前に聞いてから、ファッションに携わる者として独立してからもずっと心の奥に秘めてきました。 
 
 
 
戦後の闇市であれば飛ぶように売れたもの、それは 
 
 
「 女性の口紅 」 
 
 
です。 
 
 
闇市で手に入るような品ですから、恐らくかなり粗悪な品であったことは間違いありません。 
 
 
でも当時、今自分のできる精一杯のこととして、女の人が口紅を買い求めたというのです。 
 
 
僕はこの話を非常に大事にしています。 
 
 
古今東西、いついかなる時でも、女の方は美しくありたいし、綺麗になりたいし、可愛い存在でありたいと望む生き物なのだと。 
 
 
 
僕は心理学の話を度々しますが、進化心理学的に考えても人間は動物であるというのが行動の根本にあると考えています。 
 
 
現代ではジェンダーに関する考え方がいろいろありますので、それぞれの立場は尊重しています。 
 
 
ただ「動物として子を残す」という観点からみれば、 
 
 
女性は可愛く美しくあり、「最高の男性に選ばれたい」 
 
 
男は強くたくましくあり、「女や家族を守る」 
 
 
というあり方が、 DNA に刻み込まれているはずです。 
 
 
ただ、 
 
 
「女性が美しくありたい」 
 
 
そこに理由なんて、無くていいんだと思います。 
 
 
 
闇市で口紅を求めた人の中には、生きていくためにやむにやまれず「女」という性を売ってお金を風がなくはいけないからどうしても口紅が必要だった、という女の人もいたかもしれない。 
 
 
 
でも、それだけではないと思うんですね。 
 
 
 
女性はいつの時代も、いかなる時も「綺麗でありたい」。 
 
 
 
その想いこそが、女の人の美しさの根源だと思いますし、女性が愛おしい存在であり続ける理由だと思います。 
 
 
 

不要不急と決めたのは誰だ?

 
 
そのような思いに考えを巡らせた時、今回の新型コロナウイルス禍における 
 
 
「 不要不急 」 
 
 
とは一体何か?と考えるんですね。 
 
 
 
ファッションや装いに関わる多くの人が、 業績の低迷を 
 
 
「コロナだから。」 
 
「不要不急だから。」 
 
 
という理由で説明します。 
 
 
 
確かに、お客様の来店数は減少し、時短営業を強いられ、 売り上げは下がり、事業が苦しいのは間違いありません。 
 
 
 
ただひとつだけ僕が違和感を感じる点があってそれは何かと言うと 
 
 
「 ファッションは不要不急 」 
 
 
という言い分です。 
 
 
「それは誰が言った言葉なんだ?」 
 
 
という点です。 
 
 
 
実際に 
 
 
 
「在宅勤務になったから今すぐ必要ない。」 
 
 
と、お客様に言われた方もいるとは思います。 
 
 
 
でも、これまでお世話になった全てのお客様があなたにそれを言ったのでしょうか? 
 
 
 
違いますよね? 
 
 
 
それをあなたに言ったのはお客様じゃない。 
 
 
 
ファッションは不要不急 って、それを決めて受け入れたのはお客様じゃなくて 
 
 
「自分自身」 
 
 
なんじゃないですか? 
 
 
 
新型コロナウイルスの影響で売上が下がっているのは、事実だからそれはいい。 
 
 
 
でも、ファッションが「不要不急」かどうかを決めるのは、あなたじゃなくてお客様なんです。 
 
 
 
一人一人、会いに行って確かめた訳でもないのに、お客様の想いや気持ちを勝手に決めつけてはいけない。 
 
 
 
 
って、そう思うんですね。 
 
 
 
 
 
コロナで大変なのは分かります。 
 
 
 
でもそれは、 
 
 
 
「戦後の闇市で口紅を買った女の子よりも大変なのか?」 
 
 
 
っていうこと僕自身は考えるんですね。 
 
 
 
僕は人の装いに関わるものを扱う時は、どんなに厳しい時でもそう思うようにしています。 
 
 
 
 
 
だってインターネットを使ってる時点で、戦後の闇市の時代のどんな人よりも有利な立場にあるわけじゃないですか。 
 
 
 
 
だからもし、あなたも商品・サービスを提供しているのであれば考えてもらいたいんですね。 
 
 
 
あなたの商品 
 
あなたのサービス 
 
あなたのコンサルティング 
 
あなたの情報 
 
あなたの知識 
 
あなたの経験 
 
あなたのアドバイス 
 
 
 
こんなコロナの時代であるからこそ、あなたを必要としている人や、まだ出会えていないお客様がいるんだって事をです。 
 
 
 
だから、新型コロナだからって届ける努力を諦めちゃいけない。 
 
 
 
戦後の闇市で口紅を探し求めるような気持ちで、 あなたが商品サービスを  
届けてくれるのを待ってる人がこの世界に必ずいるのですから。 
 
 
 
その切ないくらいの 
 
【人の想い】 
 
を、ファッションに携わるものは、自分の商品サービスを持って迎えに行ってあげるべきだと思うんですね。 
 
 
 
 
コロナの大変な時期というのはそのうち必ず明けます。 
 
 
 
世間一般的にも、 
 
 
「ファッションが不要不急のものでなくなった時」 
 
 
が戻ってくるんです。 
 
 
 
その時、お客様に選ばれる人というのは 
 
 
「どんなに粗悪な品であっても口紅をつけたい」 
 
 
という想いに、答え続けようと努力した人間なのではないでしょうか。 
 
 
 
いつの時代もどんな時も女の人は 
 
 
「可愛く。綺麗で。美しくありたい」 
 
 
ていう気持ち。 
 
 
その想いを新型コロナウイルスの時代にも信じてあげたいと思います。  
 
 
 
それではまた。 
 
 
 

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