今回 お届けする内容
1995年製【Allen Edmonds】SEMIBROGUE DERBY『sanford』
1995年製【Allen Edmonds】SEMIBROGUE
BLUCHER『Sanford』
店長青山です、
かなり状態の良いアレンエドモンズを入手しました。
1995年製の外羽根式セミブローグ「sanford」です。
1995年【Allen Edmonds】カタログで確認してみる
では今回の靴の詳細をカタログで確認して行きましょう。
アレンエドモンズの革靴は中の印字で製造年が確認できます。
【Allen Edmonds】の年代判別については以前の記事でも詳しくご紹介していますので、確認してみて下さい。
※おススメ参考記事
左側の黄色い四角の数字「5267」はこのモデルの品番です。
右側にある4桁の数字の内、一番右の数字「5」はこの靴が製造された年を表しています。
インソールに刻印されているブランドロゴの文字などから1990年代だと推測できます。
では、WEBサイトで閲覧できるアレンエドモンズの過去のカタログ集で1995年を確認してみましょう。
1995年秋のカタログを見てみると。。。
1995年【Allen Edmonds】CATALOG
Sanford
Five-eyelet blucher cap-toe with
medallion. Full leather linings, single
oak leather sole, and custom heel.
Size Chart #4.
5267 Oak Aniline Calf(topview shown)
ありましたね。
品番5267は オークアニリンカーフのようです。
なるほど!アニリンカーフですか!
道理で上品な色合いだと思いました。
【Oak Aniline Calf】オークアニリンカーフとは?
さて、ここであまり聞き慣れない言葉が出てきました。
「Oak Aniline Calf(オークアニリンカーフ)」
っていったい何でしょうか?
そのままの意味で取ると
オーク【楢(ナラ)の木】のタンニンでなめされた後、アニリン染めされたカーフ(生後6か月までの仔牛の皮)
という事になると思います。
でも、実際にはオークタンニンされた革ではなくて、【オークタンニンされた様な風合い、色合い】のアニリンカーフの事かな?とも思うんですね。
アレンエドモンズが決めた「オーク」という色の事かもしれせんね。
この名称の意味に関しては【Allen Edmonds】でないと本当の意味が解らないですが、もう少し詳しく考察していきましょう。
Oak tannin(オークタンニン)
「革」というのは動物の皮膚であった「皮」に対して「鞣し(なめし)」という作業を施す事により、腐らないよう加工した製品の事です。
英語ではなめす事を「tan」といいます。
Old Oak Tree
そのなめしの行程で使用する成分として【植物から抽出した物】を使うなめしを「植物タンニン」とか「ベジタブルタンニン」と呼びます。
オークタンニンは楢(なら)の木の樹皮から抽出した成分でなめした革という意味ですね。
植物タンニンでなめされた皮革は経年変化の風合いが楽しめるのが最大の特徴です。使えば使うほど馴染んできて、最高に愛着が持てる革と言えます。
また、タンニンが含まれた浴槽に数カ月から1年もの期間漬け込んで作られるため、収縮も少なくハリやコシのある丈夫な皮革になります。
乾燥させたOak bark(オークの樹皮)
ただ、先ほど今回カタログに記載してある「オーク」というのはアレンエドモンズが決めた色の事かもしれない、と言いました。
それはなぜかと言うと、例えばアレンエドモンズには【chestnut】(栗の実)というブラウン系革靴のカラーバリエーションがあるんです。
実はこのチェスナットの木も植物タンニンに使われる素材なんですね。
しかし、オークやチェスナットといった植物タンニンで皮革を作るにはとても手間や時間がかかります。
製造の際には革を漬けるための浴槽(ピット)がたくさん必要なのでかなり広い場所を確保しなければなりません。これらの理由から製品化するのにものすごくコストがかかります。
本当にオークバークでタンニンされているカーフ素材だとしたら、他の靴と同じような価格帯で販売したら割に合わない、という事になるんですね。
ベジタブルタンニンでなめされた革であるという特徴をうりにしてそれなりの価格で販売するべき品となります。
また、そもそもベジタブルタンニンされた皮革は丈夫で堅牢ではあるものの、柔軟性や染色性に劣るという性質があるので、基本的に革靴のアッパーにはあまり使用されません。
それが、今回の【Oak Aniline Calf】のオークは色の事ではないかと思う根拠です。
single oak leather sole
ただ、ここでもう一つ気になる情報がでています。
先ほどのカタログで「サンフォード」の記載には【single oak leather sole】とあります。上の写真の緑の下線の部分です。
これは実際にオークタンニンされたレザーソールを使用しています。
耐久性があり、摩耗にもつよいオークバークレザーは高級革靴のソールなどに使われる素材なのです。
【Joh.Rendenbach.jr】のオークバークソール
たとえば現在のアレンエドモンズのサイトから現行品コードバンセミブローグの仕様を見てみましょう。
Strand Shell Cordovan Cap-Toe Oxford
こちらは現行のモデル『ストランド』ですがアウトソールの説明を見てみます。
Single Rendenbach leather sole
「シングル レンデンバッハ レザーソール」とありますね。
このレンデンバッハというのはオークバークのソールを作っているドイツのタンナーで【Joh.Rendenbach.jr】の事。
一般的にレザーの製造業者と呼ばれる会社には3種類ありますがタンナーというのは「原皮をなめして革にする業者」の事です。
※おススメ参考記事
1871年から続くレンデンバッハ(Joh.Rendenbach.jr)のオークバークソールはイギリスのベイカー社(J&FJ Baker &a Co Ltd)と共に世界的に知られています。
【 J R 】の文字は『Joh.Rendenbach.jr』の略ですね。
このようにアレンエドモンズでは現在でも高級な革靴にオークバークソールを使用しているのです。
なので、過去のモデル「Sanford」がオークソールを使用していてもおかしくありません。それだけ良い素材を使用しているという事です。
靴とワインの意外な関係
ちなみに。
古来より樫の木はビールやワインの樽の材料として使用されてきました。
タンニンとはワインで言う「渋味」の事。
赤ワインはブドウのタンニンを含む皮や種を残したまま発酵させるので赤く染まり、渋みがでるのです。
そしてオークの樽に貯蔵される事でオークからもタンニンがワインの中に染み出て、味が良くなります。
オークで作られたワインの樽
タンニンとは実を言うと「ポリフェノール」の事なんですね。
ワインにも含まれている成分で靴に使う革を鞣しているなんて面白いですよね。
【ANILINE CALF】アニリンカーフとは?
ではアニリンカーフについてです。
これはアニリン染めされた仔牛の革という事ですが、「アニリン」って一体何でしょう。
アニリンとは革に色を付ける【染料】の事ですが「水性の合成染料で酸性」の特徴を持ちます。
『アニリン』
【水性】水に溶ける
【酸性】青色のリトマス試験紙を赤くする
【合成染料】石油などを原料に化学的に造られた人工の染料
ちなみに塗料などでは【水性】と【水溶性】の2種類があります。
どちらも水に溶ける性質の染料を使用していますが、【水溶性】は溶剤に水ではなくアルコールなどを使用しているものです。
なので、アニリンカーフとは『水性の染料で染められた仔牛の革』という事になりますね。
革本来の質感、素材感を活かしたとても美しいレザーとなるのが特徴です。お手入れを楽しみながら経年変化を十分に堪能できる皮革となります。
アニリンカーフクリームでお手入れする
このようにお伝えすると、
「革がデリケート過ぎて自分ではお手入れできないのではないか?」
と感じられるかもしれませんが実はお手入れはもの凄く簡単です。
アニリンカーフのお手入れにおススメするのは
【M.モゥブレィ】
アニリンカーフクリーム
です。
こちらは文字通り、アニリンカーフに使える皮革クリームでロウ分と若干の油分が含まれています。
このクリームを布で塗り込み1分ほど置いた後、乾拭きするだけでお手入れは終了です。簡単ですね。
浸透性が高く栄養を補給してくれる上に、上品で繊細なアニリンカーフに使用してもシミになりません。
そして、アニリンカーフクリームは弱アルカリ性の性質を持つため、酸性の染料で染めたアニリンカーフに使用すると
【 靴の汚れを落とす効果 】
があるのです。
通常のクリーナーでは洗浄力が強すぎて色落ちが心配なアニリンカーフでも、適度な汚れ落としで革の表面を保護しながらきれいにすることができます。
『 革の保湿』という点だけを考えれば
【M.MOWBRAY】
【M.MOWBRAY】デリケートクリーム
【M.MOWBRAY】のデリケートクリームでも可能です。
デリケートクリームは中性の性質なので色落ちもありませんし、シミになる心配もほとんどありません。
しかし、ロウ分がないので革の表面に膜を作って靴を汚れから守り、ツヤを出す事ができません。
その点、アニリンカーフクリームであれば革の表面にロウ分で薄いコーティングを作り、革を汚れから保護する事もできるのです。
また、無色のクリームなのでどんな色の靴にも使えますし、靴の染料を定着させて色を長持ちさせるような成分も含まれています。
アニリンカーフに限らずとも絶対に失敗したくない革小物のお手入れなどには是非、お勧めです。
小さめサイズのアレンエドモンズ
今回のアレンエドモンズ「サンフォード」ですがアウトソールの減りも少なくかなり良いコンディションです。
そして今回特筆すべきは日本人の方でお探しの方が多い「小さめのサイズ感」です。
サイズ 7 ウィズD (目安24.5 cm~25.5cm 位)
となっています。
アニリンカーフの【Allen Edmonds】でこんなに小さめサイズの90年代物なんて滅多に無い出玉です。
これを入手するのがどれだけ困難なのか理解できるあなたはすぐに試着に来て下さいね。
それでまた。
1995年製【Allen Edmonds】SEMIBROGUE
BLUCHER『Sanford』
サイズ 7ウィズD (目安24.5 cm~25.5cm 位)
¥24700-(+tax ¥2470-)
※アレンエドモンズ画像一覧
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