電話をかけてきたシンタが言った
「 あー、いたいた。
今、どこにいんの? 」
これは今から25年前
中学校の友人からの電話である
シンタは遅刻の常習犯
待ち合わせに
きちんと来たことがない
約束の時間に待ち合わせ場所に
現れないので家に電話すると
おうちの方に
「 今、シャワーを浴びている」
とか言われてしまうのである
約束の時間を過ぎてから目を覚まし
中学生のくせに
みんなが待っているのを承知の上で
のんびりシャワーを浴び始めるような
時間の流れがそこだけ
インド人のような奴なのである
その日も僕が待ち合わせ場所に行くと
案の定、来ない
しばらく待っても
家に電話してもいない
仕方なく、自宅に帰ると
そのうち
シンタから電話があった
「 あー、いたいた。
今、どこにいんの? 」
「 自宅に決まってんだろ!!
オレんちはキャンピングカーか!? 」
・・・・・・
なんのこっちゃ、わからないという
人も多いことだろう
意味不明だと思うかもしれないが
実はこれ、25年前はりっぱな
笑い話だったのである
なぜならば昔、電話と言うのは
固定電話だったので
相手の家に電話をかけて
「 今どこ? 」
とうのは当時
ありえない言葉だったである
まったく、とぼけた野郎だと
笑い話になったエピソード
なのであった
今は携帯電話があるので
待ち合わせも
様変わりしたように思う
「 ●●あたりに△時頃。
着いたら電話して。 」
というのが当たり前になった
電話をかけて
「 今どこ? 」
というのが日常的だ
待ち合わせをしていて
「 会えない 」ということがない
お蔭で、近くで時間をつぶしていても
その人が来ていれば必ず会える
昔の恋愛ドラマといえば
主人公と、想いを寄せる人が
待ち合わせをする
しかしながら
すぐ側にいるにもかかわらず
すれ違ってしまい、会えない
想いを寄せる人は
そこに現れた恋敵にだまされ
一緒に行ってしまう
来週に続く。。。
みたいなのが
典型的なパターンだった
今だったら
「 LINEで連絡とればいいじゃん?
バカなの? 」
と、いうことになるだろうが
物理的なすれ違いが
それだけ日常的にあったものだ
今は、それだけいつも携帯がある
ということだが
携帯電話が出てきてから
待ち合わせで失敗するという感覚が
ないためか
何かあって会えないと
まるで自分のせいではないかのように
言う人がいる
携帯の充電が切れた
相手が電話にでれなかった
電波が悪くてつながらなかった
などということで
うまく会えない理由を
携帯のせいにしたり
相手のせいにしたり
ソフトバンクのせいにしたりする
でも、ちょっとまってほしい
それって
携帯電話を間に挟んで
待ち合わせをしたからじゃ
ないのだろうか
「 ●●駅の南口改札で、夕方6時 」
その場で場所と時間を
約束すれば
5秒ですんだ話ではなかったのか
わざわざ
「 着いたら電話して 」
と、携帯に依存して
一回電話する必要が
本当にあるのかどうか
待ち合わせというのは
時間を決める
約束をする
約束を守る
ということ
昔は待ち合わせの場所に向かって
家を出たら
途中で相手に連絡するすべがなかったから
待ち合わせの約束を守るのも
真剣味があった気がする
「 着いたら連絡して 」
というのは気軽で楽だが
決断する、約束する、それを守る
という責任を避けるために
携帯電話に依存しているとしたら
何かあった時に
自分以外のせいにしてしまうのでは
ないだろうか
作家の本田健さんは言っている
『 とりあえず
いまは決めないでおこうというのは
「 先送りすること 」を決めているのと同じ。
たいていの場合、それは最悪の決断です。 』
待ち合わせの時間ですら
決断を先送りにするクセをつけていると
いろんなことがあった時に
決断ができない人間になって
しまいそうな気がする
「 なるべく早く行くよ。
着いたら電話する。 」
それでも
いいだろうが覚えておいてほしい
想いを寄せた人生と
すれ違っても
あなたの人生の責任を
ソフトバンクは
とってくれないということを
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